彼の隣、彼の声

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毎朝バスの中で気になる人の姿を見つけて1人ドキドキして。 学校で友達と下らない話や卒業後の話を延々と繰り広げて、たまにカラオケでストレス発散して家に帰る。 家に帰れば、ママが作ってくれる美味しいご飯を食べれる。 これ以上の幸せなんて、きっとないんだよね。 …なんて事を思っていた矢先だった。 彼が降りるバス停が徐々に近付き、私の頭の中では完全にその事ばかりに意識が集中していた。 もうすぐ、降りちゃう。 朝の楽しみが、終わっちゃう。 ……だから、急な変化にすぐに対応出来なかったんだと思う。   降りるバス停が近付いて彼が立ち上がり、私の横を通り過ぎる瞬間。 彼は、私の真隣で突然立ち止まり、私の顔をジッと見つめて。 口を、開いた。 「…桐谷、純さん?」 「………」 ……嘘でしょ。 ……私今、話しかけられてる?
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