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「……ずいぶん直球だな」
「……ごめんなさい」
だって、棗くんの事なら何だって気になってしまう。
どんな事でも、知りたくなってしまう。
「……無理して飲んだのは、正解。ごめん、この水貰っていい?」
「あ…どうぞどうぞ!棗くんのために買ったんだからどうぞ!」
自販機で買ったばかりの冷たい水のペットボトルを棗くんに差し出すと、棗くんはふっと小さく笑いながら、突然私の頭に手を置いた。
「…ありがと」
そしてその手は、ポンポンと軽く私の頭を撫でて、すぐに離れて行った。
「………」
今の感触、死ぬまで忘れないようにしよう。
棗くんが私に触れるなんて、一生に一度しかきっとない。
心臓の鼓動が速いとか、脈が速いとか、そんな事を気にしている余裕はこのときの私にはなかった。
「…やべ、ごめん。今の、セクハラになるかも…」
「なりません!」
むしろ、もう一度撫でてほしいと思ってる欲深い私です。
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