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「え…あ、えっと、私は今日学校の後みんなでカラオケ行ってて…その帰り道にここ通ったら、偶然棗くんの事見つけたの」
…見つけたのは、本当は冬汰だけど。
…しかも、不審者扱いだったし。
「へぇ…カラオケか。つーか、あんたって今高3…」
「あんたじゃなくて、純でお願いします」
『あんた』は、棗くんの口癖なのかな。
もしそれが口癖なんだとしても、私は毎回訂正するんだから。
実際、好きな人に『純』って名前で呼ばれる事が、こんなにも嬉しい事なんだって初めて知った。
何度呼ばれても、絶対に飽きない自信がある。
「……純は、今年高3だろ。受験勉強とかしてんの?」
……せっかく棗くんが質問してくれたのに、少しだけテンションは下がってしまった。
受験、進学、勉強、大学。
今耳に入れたくないワードの数々。
「……受験勉強なんて、してないよ」
「ふーん。まぁ、追い込みかけるのはやっぱ夏過ぎてからか」
……そういう、時期的な問題じゃないんだよ。
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