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悩むだけ悩んで、答えを出す気なんて多分一切なかった。
変わりたいと思いながらも、心のどこかでいつも自分の病気に甘えている自分がいた。
「……病院が嫌いでも、看護師になれるかな」
「なれるって信じれば、なれるよ」
「………」
棗くんの言葉一つで、本当に看護師になれるんじゃないかって思えてしまう私は、やっぱり単純なのかな。
子供の頃入院していたときに、凄く優しくしてくれた看護師さんがいた。
病気の事で不安な私に、いつも明るい笑顔で接してくれた。
あの看護師さんの笑顔が私の救いになっていた事は確かだった。
……私も、あの人みたいに、なれるかな。
「……やば、何か急に眠気襲ってきた」
「え?」
隣を見ると、さっきまで饒舌に話をしてくれていた棗くんの瞼は閉じかかっていて、今にも眠ってしまいそうな状態だった。
……酔っ払いって、急にスイッチ入るんだ。
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