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「え、ちょっと、棗くん起きて…」
「わり。5分だけ寝かせて」
そして棗くんは目を瞑り、私の肩に頭を乗せてきた。
「………」
これは、ヤバイ。
めちゃくちゃ密着している。
棗くんの少しクセのある髪が、私の首に纏わりつく。
私が動いたら、棗くんが起きてしまう。
そう思ったら少しも動けなくて、ただひたすら5分間この幸せに酔いしれようと決めた。
するとその瞬間、ブーブー…と私のスマホがバッグの中で振動し始めた。
「………」
棗くんを起こさないようにゆっくりとバッグの中を確認すると、スマホの画面には『ママ』の文字。
時間を確認すると、夜22時をとっくに過ぎていた。
「……もしもし」
心配してくれているママの電話を無視する事は出来なくて、声を落として電話に出た。
「純?今、どこにいるの?まだ帰ってこないの?」
案の定、電話の奥のママの声は、少し焦っているように感じた。
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