初めての、好き

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「別に、近所なんだから気使うなって。それにお前の世話なんていつもの事だし?」 「世話って…ひどい」 でも冬汰のおかげで、私はこの日気兼ねなくみんなとカラオケを楽しむ事が出来た。 こうやってたまにみんなでバカみたいに騒いで、歌って、ストレス発散して。 この先の事を考えたら、頭が痛くなる事もあるけれど。 思いきり楽しめる今のこの瞬間だけは、何もかも忘れていたかった。 病気の事も、進路の事も。 何もかも、全部。 でも、みんなと楽しんでいる中でも、一つだけ忘れられなかったものがある。 棗くんの存在。 今ここに棗くんがいたら、どれだけ私のテンションは上がるだろう。 棗くんとこうやって、バスの中以外でも話せたら、どれだけ幸せだろう。 こんな風に夜一緒に出かけたら、カラオケで棗くんの歌声が聞けたら。 ……結局そんな事ばかり考えてしまうキモイ自分がいた。
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