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「純はまだ考え中なんでしょ?」
「え?」
「進路。でも、焦る必要なんかないと思うよ。私みたいに、やりたい事が見つかってる方が稀なんだから」
別に焦っているわけじゃない。
むしろ、夢に向かって進む事に憧れを抱きながらも、諦めている自分がいるくらいだ。
「……うん、そうだね」
「じゃあ私向こうだから。霧島!ちゃんと純の事送り届けてよ!」
「わかってるっつの」
交差点で未央と別れ、私と冬汰は黙々と2人で家までの道を歩く。
この、無言が続いても全く気を使う事のない空気が、私にとっては心地いい。
「……さっきの、気にすんなよ」
「さっきのって?」
「星野が言ってた進路の事。…まぁ俺だって、将来やりたい事なんてまだ決まってないけど」
…私が無言だったから、落ち込んでると思ったのかな。
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