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「……将来の夢って、どうやったら決まるんだろうね」
いつ、どんな瞬間に、自分の未来は決まっていくんだろう。
考えても仕方のない事を、頭の中でループ化させていく。
……私の悪い癖が止まらない。
「…お前ってさ、考えてもどうしようもない事をいちいち考えるの好きだよな」
「……放っといてよ」
さすが冬汰。
私の事、よくわかってる。
「…間違っても、ああいう酔っ払いにはならないように気をつけよ」
「え?」
そのとき、私達の家の近所の公園の前を通りかかった。
「ほら、見てみろよあれ」
そう言って冬汰が指で示したその先には、ベンチがあって。
そのベンチにはスーツを着た男性が、明らかに酔っ払っているのか、今にも崩れ落ちそうな体勢で座っていた。
「………」
……あれ?
「……嘘」
遠くから見たって、わかってしまう。
……そこにいたのは間違いなく、棗くんだった。
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