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「それよりあんた、今日テストだろ。学校間に合うのかよ」
「あっ…!」
…そうだ、今日は1時間目から数学のテストだったんだ。
さすがにテストの日に遅刻したら、先生に何を言われるかわからない。
慌ててバス停の時刻表を見ると、次に来るバスなら何とかギリギリで1時間目のテストには間に合いそうだった。
「多分、次に来るバスに乗ればギリギリ間に合うと思うから大丈夫」
「良かった。つーか、絶対間に合ってテスト受けろよ。俺に飴くれるために遅刻したなんてなったら、俺も困るから」
「うん大丈夫だよ。全速力で走るから」
…走ったら具合悪くなるかな。
…なんて考えが一瞬頭をよぎったけど、そんな嫌な想像は無理やり頭から消した。
棗くんに責任を感じさせないためにも、ちゃんと間に合わないと。
「じゃあ、テスト頑張ってくるね。棗くん、もう会社行かないと」
「…次のバス来るまで…」
そのときだった。
「あれ、梶真?」
突然、私達の背中の方から、棗くんを呼ぶ男の人の声が聞こえた。
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