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こんな事言ったら、絶対笑われるに決まってる。
そう覚悟して口にしたけれど、冬汰は私の予想とは裏腹に少しも笑わなかった。
「……お前、好きなヤツいたんだ」
「え?あ…うん。実は、未央にだけ話してたんだ。冬汰に言ったら絶対からかわれると思ったから、言わなかったんだけど」
「……ふーん。つーか、何であんな男好きになったわけ?酔っ払って公園のベンチで寝るような男、ヤバイだろ」
「ヤバくないよ!それに、あれはたまたまっていうか…棗くんは普段はちゃんとしてる人で…」
「お前まさか、付き合ってるわけじゃないよな」
「……付き合ってるわけないじゃん。……そんなの、あり得ないし」
いつか私の事を見てくれたらって、そんな高望みを胸に抱いてしまったけれど、あり得ない夢だって事は理解しているつもり。
完全に、私の片想い。
棗くんが私に振り向いてくれる可能性なんて、1%にも満たない。
悔しいけど。
足掻いたって、仕方のない現実。
だって棗くんには、『綾乃』がいるから。
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