切なくて、もどかしい、恋心

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「……冬汰が思ってるような関係じゃないんだ私と棗くんは。完全に、私の片想いなの」 「……報われない恋なんて、やめればいいのに。……まぁ、やめれない気持ち、俺もわかるけど」 「え?」 そのとき、棗くんが乗っているであろうバスがこちらに近付いてくるのが見えた。 「お前がいつも乗ってるバス、あれ?」 「うん、そうだよ」 棗くんには好きな人がいる。 それはちゃんとわかってる。 わかっているのに、やっぱりバスが近付いてくると勝手に胸がドキドキしてしまう。 「…もしかして、お前の好きなあの男、このバスに乗ってんの?」 「え!どうしてわかるの?」 そんな事一言も言ってないのに、冬汰はズバッと当ててみせた。 何なんだろう、この勘の鋭さは。 「……お前の顔見れば、想像つくし」 そしてバスは私達の目の前に到着し、私は冬汰より先にバスに乗り込んだ。 バスに乗り込み、すぐに後方に視線を向けると、いつもの場所に棗くんは立っていた。
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