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「最近酔うんだよ。知らなかった?」
「……知らなかった」
冬汰の事なら何でも知ってるつもりでいたけど…実際そんな事ないんだろうな。
「…つーか、お前こそ乗り物酔いするくせに。アイツの顔見たいからわざわざいっつも後ろに乗ってんのかよ」
「ちょ…しーっ!そういう事、ここで言わないでよ…聞こえたらどうすんの?」
バスの前方に進んだとはいえ、今立っている位置からも棗くんの姿はギリギリ見える。
ヘタしたら、こっちの会話だって聞こえかねない距離。
「あのさ、俺達の会話が聞こえてたとしても、お前が相手にされる事はないって。変な期待しない方がいいよ」
「……言われなくてもわかってるよそれくらい」
冬汰も未央も、本当に容赦ない言葉ばかり投げかけてくる。
もっと気遣ってくれたっていいのに。
でも逆に冬汰が、『お前なら絶対大丈夫。いつか必ず振り向いてもらえるよ』
…なんて励ましてきたら、それはそれで気持ち悪いかも。
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