切なくて、もどかしい、恋心

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「は!?霧島にバレたって?」 「……バレました」 昼休み。 私は未央に、今朝冬汰が家に来て、棗くんの存在を知られてしまった事を包み隠さず話した。 ちなみに、金曜日の夜の事も。 「うわー…ついにバレちゃったか。…で、霧島、どんな反応だった?」 「…お前なんかが相手にされるわけないんだから、さっさと諦めろって。現実を見ろって怒られた」 決して冬汰の言っている事は、間違ってなんかない。 間違っていないからこそ、余計に胸にグサグサ刺さった。 「あははっ確かに」 「…そこ、笑うとこじゃないと思うんだけど」 「あ、ごめんごめん。でもさ、霧島の言うとおりさっさと諦めた方がいいんじゃない?棗くんには、綾乃がいるんでしょ?」 「………」 私の聞き間違いだったらいいのに。 私の頭から、離れなくなってしまっている名前。 姿の見えない『綾乃』に、みっともないくらい嫉妬している自分。
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