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胸の奥が、チリチリと痛む。
痛む原因は、わかってる。
嘘に嘘を重ねている自分がいるからだ。
私がまたどこかで発作を起こしたら…と、いつも心配してくれているママ。
……ごめんね、ママ。
シャワーで体の汚れを洗い流し、柚子の香りのバスソルトを入れて湯船につかった。
「……気持ちいー…」
目を瞑ると、さっき別れたばかりの棗くんの顔が浮かんでくる。
結局あの後、私は零れる涙を拭って、何事もなかったかのように装い棗くんに声をかけた。
肩を少し強めに揺さぶると、ようやく棗くんは目を覚ました。
「……ごめん、完全に寝てた」
「寝てたね。……寝言も言ってたし」
「マジで?何か変な事言ってた?」
少し恥ずかしそうに聞いてくる棗くん。
私からすれば、思わず笑ってしまうくらいおかしな寝言を口にしてくれていた方が、まだ良かった。
……たった一言だったけど、あんなに想いが詰まった寝言、笑えないよさすがに。
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