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「……ナイショ」
「えっ…」
「家教えたら、家まで押しかけて来そうだから」
「……!そ…そんな事しないもん!」
ニヤリと笑みを浮かべた棗くんに、私は慌てて反抗してみせた。
家まで押しかけるなんてそんな荒業…さすがの私でも出来やしない。
ていうか、そう思われてるって事は、もしかして私の気持ちって……完全にバレてる?
「ウソ。冗談だよ。寝言教えてくれなかった仕返し。何本気で慌ててんの」
「………」
クスクスと笑う棗くんは、意外とイジワルだと思う。
そのまま私と棗くんは、公園の前でお別れした。
最後、別れる間際に
『また月曜日ね!』と大きな声で叫ぶと、棗くんは苦笑いしながらもヒラヒラと手を振ってくれた。
また来週も月曜日から、棗くんに会える。
そして私は『綾乃』の名前を知らないフリして、また棗くんにしつこく話しかけるんだ。
何も知らないフリをして。
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