切なくて、もどかしい、恋心

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「…何?ママ」 「ん?何か、微笑ましくて。冬汰くん、ずっと純と仲良くしてくれてありがとね」 「え……いや、別に。礼を言われるような事じゃないんで」 とか言いながら、冬汰は明らかに照れた表情を隠すのに必死になっていた。 「あっ冬汰照れてる!」 「うるせーな…照れてねーし!つーか、お前早く食えよ。バスの時間、何分?」 ……やっぱり、あのバスに乗るつもりなのかな。 「…冬汰、今日チャリじゃないの?」 「は?お前と学校行くのに、チャリで来るわけねーだろ」 「……だよね」 もう、ここに冬汰がいる時点でバスに乗る事は逃れられない雰囲気。 仕方ない。 未央には、冬汰には棗くんの事は絶対言わない方がいいって助言されていたけど。 こうなったらもう、バレたらバレたで仕方ないって覚悟して、バスに乗ろう。 「まだ?」 「…今歯磨きしてくるから、もうちょっと待ってて」 完全に冬汰にいつものペースを狂わされながらも、何とか準備を終えてバスが到着する5分前に2人で家を出た。
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