心の奥に、触れた瞬間

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私は一度も後ろを振り向く事なく、一心不乱に水族館の出口に向かって走り続けた。 「……はぁ……はぁ……」 出来るだけ棗くんから遠く離れないと。 出来るだけ遠く……。 「純!薬飲め!」 「……え……」 水族館の出口に向かって走っていた私の背中にかけられた声。 やっと後ろを振り向くと、そこには私を追いかけてきたのか、何故か息を切らせた冬汰が立っていた。 「……冬汰……」 「いいから早く飲め。事情は後で説明するから。薬、バッグの中?」 私は冬汰の言葉に頷くのが精一杯で、結局冬汰がバッグを開けてポーチの中から発作薬を取り出してくれて。 お水と一緒に、薬を飲ませてくれた。 「……冬汰…どうしてここに……」 「純ー!大丈夫!?」 大きな声をあげながら、バタバタと泣きそうな顔で私の方へ駆け寄ってきたのは、未央と未央の彼氏のカズ君だった。
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