392人が本棚に入れています
本棚に追加
「ありがとう。あんたの気持ちは嬉しいよ。でも、ごめん。……俺はその気持ちに、応える事は出来ない」
「………」
「あんたの言う通り、俺はもうずっと前から…綾乃しか見えてないから」
「……っ」
かなり前から、予想していた結果。
棗くんが綾乃さんを好きな事なんて、とっくに気付いてた事実。
現実をこうして突きつけられる前に最初から予想しておけば、受けるダメージは少なく済むと思った私が間違いだった。
頭の中で作り上げていた想像と、本人の口から聞いた言葉じゃ、比べようもない程ダメージが違い過ぎる。
「……多分、きっとこの先も」
……失恋って、こんなにも心が痛くなるものだったんだ。
「だから…俺の事なんか早く忘れて、他の男に目を向けた方がいいよ」
「……そんなの…そんなの簡単に言わないでよ……」
一瞬で恋に落ちる事があるように、一瞬で好きな人を嫌いになる事なんて出来るの?
……私はそんな方法、知らないよ。
最初のコメントを投稿しよう!