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「…あんたはまだ若過ぎる。社会に出れば、すぐにわかるよ。俺なんかより良い男なんて山ほどいるから」
「………」
「今はまだ高校生だから、周りに俺みたいな年上がいないだけで…」
「だから、そんなんじゃないんだってば!」
年上の男性に憧れて棗くんを好きになったとか、社会に出れば良い男は山ほどいるだとか。
そんな雑な価値観、どうだっていい。
ただ、勝手に決めつけないでほしかった。
私の、棗くんへの想いの度合いを。
「……私は、棗くんだから好きになったんだよ。棗くんじゃなかったら……恋なんかしてなかった」
恋なんか、必要ないと思ってた。
棗くんと出会うまでは。
「……棗くんが、好き」
「……うん」
「好きです」
「……ありがとう」
棗くんは、困ったような顔で、少しだけ笑ってくれた。
一方的に気持ちを押し付けている無様な私に対して。
……私の好きな、いつもの笑顔を見せてくれたんだ。
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