心の奥に、触れた瞬間

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「落ち着いた?」 「うん、だいぶ……落ち着いてきた」 何故冬汰と未央が水族館にいたのか。 理由はただ単純に、私の事が心配で尾行してくれていたらしい。 未央の彼氏のカズ君がつい最近運転免許を取得したから、練習も兼ねてらしいけど……。 棗くんに夢中過ぎて、3人に尾行されていたなんて全く気が付かなかった。 「水飲む?」 「……うん。飲む」 今は発作も落ち着いたから、カズ君の運転で私の家まで送ってもらっているところだ。 こんな風に他人に迷惑なんてかけたくなかったのに…結局いつまでも迷惑ばかりかけてしまう自分が悔しい。 あのとき冬汰が来てくれなかったら。 未央が来てくれなかったら…私はどうなっていたんだろう。 きっとまた倒れて病院に運ばれていたに違いない。 「冬汰、未央…それからカズ君も。今日は…本当にありがとうございました。それから…迷惑かけて…」 「ごめんなさい、とか言うなよ。もうとっくに聞き飽きたからそのセリフ」 「………」 まさに今、ごめんなさいと言おうとしていた私は、隣に座っている冬汰に鋭い指摘をされて言葉を飲み込んだ。
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