心の奥に、触れた瞬間

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……怪しい者じゃないなんてわざわざ口にしてしまうところが、逆に怪しい気がする。 「ね、本当に教えてくれるだけでいいからさ」 「いえ、あの、そういうの困るんで…」 …と、戸惑っていると、突然横から右腕をグイッと力強く引っ張られた。 驚いて隣を見ると、そこには棗くんが立っていた。 しかも、少し不機嫌そうな表情で。 「…遅くなってごめん。行くよ」 「は…はい!」 私は棗くんに引っ張られながらその場を後にした。 …タイミングよく、棗くんが来てくれて良かった。 「棗くん…ありがとう」 あの怪しいナンパ男から助けてくれた事をお礼すると、棗くんは不機嫌な表情のまま一瞬立ち止まって私を見た。 「……あんた、危なすぎ」 「え…」 そう言うとまた私の腕を掴んだまま、関さんが運転席に座っている車の後部座席へと乗り込んだ。
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