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彼女への想いを抱え続けていたら、いつか心が潰れてしまう事くらいわかっていた。
溺れて、縛られ、捕らわれ、最後は俺の心だけが潰れて消えて無くなる。
だけど、それでもいいとさえ本気で思っていた愚かな自分。
彼女の領域に足を踏み入れた時点で。
彼女の柔らかな髪に触れた時点で。
許されない罪を自分一人で背負い込み、消えてしまいたかった。
彼女しか知る事のない、俺の長年の想い。
『好き』の一言では片付けられないほど、俺は夢中で恋をした。
「……梶真くん……助けて」
差し伸べられたその手を、俺は強く掴み引き寄せた。
「……好きだ」
その言葉で、俺は彼女を傷つけた。
彼女だけじゃなく、唯一心を許せる友人も、そして自分自身も。
罪悪感しかなかった。
幸福感なんて、微塵も感じられなかった。
なのに、俺の心は彼女に強く惹きつけられて。
……そして、また、溺れて堕ちていく。
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