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高校を卒業して、俺と関と綾乃は同じ大学に入学した。
関と綾乃が付き合い始めてからは、3人で過ごす時間が当たり前のようになっていた。
誰がどう見ても、関と綾乃はお似合いのカップルで。
関はいつまで経っても変わらず綾乃に夢中で、綾乃もいつも幸せそうに笑っていた。
俺は俺で、早く綾乃の事は諦めて他に目を向けようなんて思って、彼女を作ったりもした。
けど結局、どれも長続きはしなかった。
決してそんなつもりはなくても、きっと無意識に綾乃とその彼女を比べてしまう自分がいて。
綾乃ならこういうとき、こうするだろうな…とか。
綾乃なら、こんなものが好きだろうな…とか。
結局関と3人で当たり前のように一緒にいると、嫌でも綾乃に視線を向けてしまう自分がいた。
「梶真!明日3人で飲みに行くぞ」
「…また?先週も飲んだじゃん。たまには2人で行ってきたら?」
「梶真くんも一緒に行こうよ。また大地が新しいお店見つけたんだって」
「………」
諦めたいのに、まだ好きでいたい。
矛盾する感情がループする。
この想いを決して口にしなければ、好きでいたっていいんじゃないか。
関を裏切る事にはならない。
綾乃に迷惑をかける事もない。
この想いさえ、口にしなければ。
……なのに俺は、今からちょうど1年前。
……決して踏み込んではいけない領域に、踏み込んでしまった。
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