溺れて、潰れていく心

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それは本当に予想もしない、突然の出来事だった。 今から1年前の夏。 俺と関は大学を卒業後、同じ会社に入社していた。 部署は別だから、社内でそんなに顔を合わせる事はなかったけれど。 あの頃は互いに会社の雰囲気や仕事に慣れる事にとにかく必死だった。 特に関が配属された部署には、新入社員イビリを自分の楽しみにしているような体育会系の上司がいて。 仕事を覚える事で精一杯な中、関はその上司からの圧力で相当なストレスを感じていた。 多分、そういう日々の積み重なったストレスが原因だったんだろう。 関と綾乃が、別れる寸前のケンカをした。   結局別れる事はなかったけれど、そのとき綾乃は俺の家に逃げ込んで来たんだ。    「野々宮?どうしたんだよこんな夜遅くに……」 そう口にした瞬間、彼女の左の頬が少し赤く腫れている事に気が付いた。 「……野々宮、それ……」 彼女は咄嗟に頬を自分の手で隠したけれど、俺はその手をどけて彼女の腫れた頬に優しく触れた。
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