純粋無垢な、その存在に

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古いタイプの嫌がらせか、それとも間違い電話か。 電話の奥には確実に人の気配を感じる。 なのに、電話の相手は一切言葉を発しようとはしない。 「……誰?」 よりによって、こんな空腹でイライラしているときに…… 「こ…こんばんは!純です!」 「………」 純って……あの純…だよな?当然。 何故俺の番号を知っているのか、話は長くなると言いそこを省略しようとする彼女に対して俺はすぐに説明を求めた。 「えっと、実は棗くんが出張に行っちゃう前の日に偶然放課後関さんにバッタリ会ってしまって…それで、あの、そこからいろいろ話していたら自然と棗くんの番号を教えてもらう流れになって、それで……」 すげぇたどたどしい説明だったけれど、彼女の言いたい事は何となく理解出来た。 恐らく、関が俺と純をくっつけようとして、勝手に俺の電話番号を教えたに違いない。 何年か前にも、関が俺に彼女を作らせようと裏でいろいろ動いてくれた事があった。 けどそのときは結局うまくいかなくて。 関は多分本気で俺にしばらく彼女が出来ない事を心配してくれているんだろうけど。
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