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「おい、梶真」
「何?」
「お前さ…実家の犬みたいな女子高生って言ってなかったっけ?」
「あぁ…言ったよ」
「言ったよ、じゃねーよ。お前に懐いてくる女子高生ってどんな子なんだと思ってたけど、めちゃめちゃ可愛いじゃん!犬より可愛いじゃん!」
「………」
純に失態を見せたあの夜から2週間が経過したこの日。
いつもと違う朝が、突然訪れた。
この日彼女は珍しく、会話の最中に何度も目を擦っていて。
いつもと変わらない笑顔を見せてはくれていたけど、どこか表情がぼんやりとしていた。
少し気になったから聞くと、テスト勉強で寝ていないから眠いんだと返ってきた。
俺は朝コンビニで買ったばかりのガムを、眠そうな顔でバスに揺られる彼女に手渡した。
「……ありがとう」
「………」
嬉しそうに顔を綻ばせながらお礼を言った彼女は、俺があげたガムを食べるわけでもなくカバンに入れるわけでもなく、ただひたすらジッと見つめていた。
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