純粋無垢な、その存在に

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「そういえばさ、あんた関と偶然会ったって言ってたけど…どこで会ったの?」 「えっ…」 ただ何気なく聞いただけの事だった。 その質問が彼女を困らせるものになるだなんて、少しも思わずに。 「えっ……と……」 「…何困ってんの」 「こ…困ってなんかないよ!じ、じゃあ棗くん、私もう行くから!お土産、ありがとう」 「え?あ、うん。じゃあ、気をつけて」 相当時間が押し迫っているのか、彼女は慌てた様子で自転車に乗り、その場を去っていった。 ……そういえば、結局どこで関と会ったんだ? まぁ、そんな細かい事はどうでもいいか。 俺も早くコンビニ行って、弁当でも買って……。 「……あ」 マジであり得ない。 急いで家を出たから、財布忘れてきた。 こっちの用件なんてコンビニに行くついでだったはずなのに。 結局いつの間にかメインが完全にすり替わっていた事に今更気付く。
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