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そして関の隣には、当然のように綾乃が寄り添っていた。
俺が女子高生をナンパしてるだなんて勘違いした関は、持ち前の人懐っこさを全面に出しながら純に対して自己紹介し始めた。
「ごめんね梶真のヤツ、冷たいでしょ。もっと愛想が良ければモテるんだけどなーコイツも」
「余計な事言うなっつの。ごめん、コイツは同僚の関。それから…」
俺は、綾乃に視線を移した。
「…こっちが、野々宮。関の彼女」
「初めまして」
綾乃は、誰もが見惚れるような笑みを浮かべながら彼女と接していた。
そんな綾乃から視線を外したいのに、結局俺の意識とは裏腹に彼女を見てしまう意志の弱い自分。
関にプロポーズされたと綾乃から聞かされた日、俺はそこで綾乃とは完全に切れたつもりでいた。
けど、こうやって顔を見てしまったら、彼女を好きな気持ちが消えていない自分に気付かされる。
綾乃は関からのプロポーズを承諾した。
2人は一緒に暮らし始め、今年の秋、綾乃の誕生日に入籍する予定らしい。
誰よりも喜んでやらなきゃいけない事なのに、いまだに誰よりも喜べていない。
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