純粋無垢な、その存在に

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「じゃあ私、会社行くから」 綾乃とはそこで別れ、俺も関に急かされ結局純だけをその場に置き去りにする形になってしまった。 「あの子、いつもお前と同じバス停で降りてんの?」 「いや、今日はちょっと…いろいろあって」 話せば多分長くなるから、適当に誤魔化そう。 「ふーん。でもさ、あの子お前の事すげー好きなんだな。何かお前を見る目が、俺を見る目と全然違ったし」 「…いや、多分好きとかじゃないよ。それにあの子、彼氏いるし」 「は?マジで?」 俺だって、男と一緒にいるところを見ていなかったらとっくに勘違いしているところだ。   「お前に彼氏の話とかしてくんの?あの子」 「……いや、それはないけど。男とバスに乗ってきた事あるから」 「何だよそれ…そんなの彼氏かどうかなんてわかんねーじゃん。ただの同級生かもしれないし」 「………」 実は俺も、薄々感じていた事。 もしかしたらあの日一緒にバスに乗ってきた男とは、そういう関係ではないんじゃないかと。
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