純粋無垢な、その存在に

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直接聞いたわけじゃないから実際はどうなのかなんて知らないし、バスの中での2人の様子を見ていたら恋人同士だと思ってもおかしくはない。 けど、その様子を見た翌日にバスで彼女と言葉を交わしたときも、あの男の話は一切彼女の方からはしてこなかった。 それどころか、微塵も男の影を感じた事はない。 彼女の話に出てくる男といえば、過保護な『パパ』だけだ。 わざと彼氏の存在を俺に隠してるのかとも思ったけど、彼女がそういう計算高いタイプではない事はとっくにわかっている。 「でも実際あの子に彼氏がいたら、どう?」 「どうって……別に何も。いてもいなくてもどっちでも良いし、俺には関係ないから」 そう。 結局どれだけ考えたところで、俺には別にどうでもいい事。 あの子に彼氏がいたとしても、本当は彼氏はいなくて俺に好意を持ってくれているとしても。 その結果で何かが変わるわけじゃない。 「…お前ってさ、ドライだな相変わらず。彼女欲しいとか思わないの?」 「……今は、思わない」 「そのセリフ、もう何年言ってんだよ」 「………」
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