君の好きが、胸の奥に響いたとき

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そこにいた連中が関と綾乃の話で盛り上がる中、その中の一人が突然突拍子もない事を口にした。 「でもさ、今だから言うけど…俺実は野々宮は梶真の事好きなんだと思ってたんだよね」 「……は?」 当然そんな事、あり得るわけがない。 何言ってんだコイツ…と思いながら何か返そうとしていると、他のヤツらまで次々と口を開き始めた。 「あ、実は俺もそう思ってた。関には絶対言えないけど」 「俺もー。高校の頃、野々宮が関の告白OKしたって聞いたときマジで驚いたよな。絶対梶真と野々宮がくっつくんだと思ってたし」 「俺もそう思ってたー」 「………」 言葉を失ってしまっていたのは、俺だけだった。 動揺…しないわけがなかった。 高校の頃、確かに綾乃が関の告白を受け入れたときは俺だって驚いた。 だけどそれは関本人も驚いていた事だし、それに驚いた理由は決して綾乃が俺に気があると思っていたからじゃない。 あの頃の綾乃に好きな人がいただなんて、そんな事少しも思わなかった。
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