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「でもさぁ、お前だってわかってんだろ?純ちゃんの気持ち。あの子、めちゃくちゃお前の事好きじゃん」
「……でも」
「ちなみに、彼氏はいないってさ」
「………」
どう返せばいいのかわからず、俺はそのまま無言で蕎麦を食べ続けた。
関の言う通りなんだと思う。
俺の勘違いでも、自意識過剰でもなく。
彼女は、俺に特別な感情を抱いてくれている……んだとは思う。
でもそれがわかったところで、俺にはどうしようもない。
彼女の好意を受け入れる事なんて到底出来るわけがないし、期待させるような事もしたくない。
俺が彼女を好きになる事は、絶対にあり得ないんだから。
「お前が前にバスで見かけた男は、ただの同級生だったんだろうねきっと」
関にそう言われて、瞬時にあのとき彼女の傍にいた男を思い出す。
俺を威嚇するような、鋭い視線。
ただの友達だとしたら、距離感がちょっと近すぎる気はしたけど。
きっとあの男は、彼女に好意を抱いているんだろう。
だけど鈍感な彼女はその気持ちに気付いていない。
……そんなところか。
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