君の好きが、胸の奥に響いたとき-2

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「…あんたはまだ若過ぎる。社会に出れば、すぐにわかるよ。俺なんかより良い男なんて山ほどいるから」 必死で涙を堪えている彼女に対して、俺は次々と非情な言葉をたたみかけていく。 「今はまだ高校生だから、周りに俺みたいな年上がいないだけで…」 「だから、そんなんじゃないんだってば!」 黙ったまま聞いていた彼女は、そこで声を荒げた。 これでいいんだ。 後は、俺の事を嫌いになってくれればそれでいい。 俺にこの子は、勿体なさ過ぎる。 この子には、もっと良い男が…… 「私は、棗くんだから好きになったんだよ。棗くんじゃなかったら……恋なんかしてなかった」 「………」 一気にたたみかけていた言葉を、失ってしまった。 今まで告白なら何人かにされた事はあるけれど。 ……こんなにも胸を貫く告白は、初めてだった。 「……棗くんが、好き」 「……うん」 「好きです」 「……ありがとう」 純粋なその姿が眩しくて思わず涙が零れそうになり、俺は必死に笑顔を作ってみせた。
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