君の好きが、胸の奥に響いたとき-2

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そして、約束の日曜日がやってきた。 「純ちゃんもういるかな」 「…いや、まだ着いてないだろさすがに」 「あの子なら梶真との約束に遅刻するなんて絶対あり得ないだろうから、もういるよ多分」 この日は、10時に駅前の椅子が並んでいる広場の所で待ち合わせ。 まだ10分以上前だけど、俺達はそろそろ待ち合わせ場所に着くところだった。 運転は関。 助手席は当然綾乃。 綾乃とは、この日久し振りに顔を合わせた。 言葉を交わしたのは、関にプロポーズされた日に綾乃が俺に電話してきたとき以来。 「梶真くん、おはよう」 「……おはよ」 今朝俺がこの車に乗り込んだとき、綾乃は何事もなかったかのように微笑みながら『おはよう』と俺に声をかけた。 そして平然と、後部座席にいる俺に向かって普通の話をし始める。 「久し振りだね」とか、「元気だった?」とか。 そして俺もその浅はかな芝居に乗り、無難な返答をする。
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