君の好きが、胸の奥に響いたとき-2

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「ね、本当に教えてくれるだけでいいからさ」 「いえ、あの、そういうの困るんで…」 彼女に馴れ馴れしく話しかける男を振り切るかのように、俺は彼女の腕を強引に掴んだ。 「…遅くなってごめん。行くよ」 「は…はい!」 彼女の腕を掴み立ち去る直前にその男を思わず睨みつけると、男は悔しそうな表情を浮かべながらそのまま俺達に背を向け走り去って行った。 「棗くん…ありがとう」 俺に腕を掴まれたままの彼女は、あれがナンパだと気付いているのかいないのか。 純粋過ぎて、心配になる。 もし知らない男が困っている演技をして近寄ってきたとしても、少しも警戒せずに彼女は必死になって助けてやろうとするんだろう。 相手の下心には一切気付かずに。 「……あんた、危なすぎ」 「え…」 俺は一言だけ忠告して、彼女を無理やり車の後部座席へと押し込んだ。
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