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純が俺たちの前から立ち去った後、関に自宅マンションまで送ってもらった。
夕飯どこかで一緒に食べないかという誘いは、丁重に断って。
そして帰宅して早々、俺はリビングのソファーに倒れ込んだ。
「……あれで良かったんだよな……」
頭に思い浮かぶのは、好きだと俺に繰り返し伝えてくれたときの彼女の顔。
想いが詰まった、あの言葉。
きっと、俺の気持ちは伝わったはずだ。
俺の事なんか、早く忘れて。
俺はこの先もずっと、あの子を好きになる事はない。
この先あの笑顔が俺に向けられなくなるとしても。
この先彼女の『棗くん』が聞けなくなるとしても。
拒絶するしかなかった。
彼女の気持ちを受け入れる事は出来なかった。
最初から、俺の中で一つしかなかった選択肢。
なのに、どうして。
どうしてこんなにも、胸の内のざわつきが収まらないんだろう。
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