一生、この日を忘れない

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「……冬汰と、未央。それから……」 「これから一緒にプール行くヤツらだって、みんなお前の病気の事は知ってる。だからって、お前に同情してるヤツなんか一人もいないだろ」 「………」 プラスの事と、マイナスの事。 その二つが頭に浮かんだら、私は咄嗟にマイナスの方に目を向けて物事を考えてしまう癖がある。 ……今まさにその状態だったんだって、冬汰に指摘されてやっと気付いた。 「お前の好きなあの男を、二年前のクズと一緒にしていいのかよ」 「よ…良くない!」 「だろ?だったら、そんな必死に病気の事隠さなくてもいいんじゃねーの?もちろん、打ち明けろとまでは言わないけど」 冬汰のこういうポジティブなところ。 冬汰のこういうちょっとお節介なところ。 いいなって、思う。 冬汰が近くにいてくれたから今の私がいるんだなぁって、時々実感する。 「お前ってほんと、変なとこでネガティブ発揮するよなー昔から。普段、すげー単純なのに」 「……うるさいな」 いちいち的確な指摘をしてくるところは、直してほしいけど。
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