一生、この日を忘れない

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「あ…こんばんは!あの、棗くん、今もしかして外だったり…する?」 「いや、家にいる」 よし! 第一難関クリア。 家にいるなら、少しは話が続けれそうだ。 「そうなんだ。えっと、今って電話しても大丈夫だった?もう寝ようとしてたとか……」 「さすがにまだ寝ないから」 電話の奥で、棗くんが微かに笑った。 その間も、私の心臓はドキドキしっぱなしで。 たまに、好きすぎて苦しくなる。 「あ…あのね、来週の花火大会の事なんだけど!20時スタートみたいだから、19時半とかに待ち合わせでもいい?」 「いいよ。場所、どこにする?」 棗くんとこうして電話で、次に会う約束をするなんて……何か夢みたいだ。 「受験勉強、ちゃんとやってんの?」 「あ…うん!やってる!本当は夏期講習行きたかったんだけど、申し込み間に合わなかったから…ほとんど毎日、学校の近くの図書館通ってるんだ」 「へぇ…偉いじゃん」 「家にいたらついダラダラしちゃうし。冬汰が迎えに来てくれるから、強制的に連れて行かれてる感じもあるけど」 私がちょっと今日は勉強サボりたいなぁ…なんて思っても、冬汰はそれを許さない。 だから、ほぼ毎日強制連行。
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