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棗くんが話し相手なら、時間を忘れていくらでも話せてしまう私。
気付けば、電話をかけ始めてからあっという間に一時間が経過してしまっていた。
「うわ、もうこんな時間だったんだ…ごめんね棗くん!もうそろそろ寝るよね」
「俺はまだ寝ないけど……でも、今日はこの辺でやめておくか」
ほぼ一時間ノンストップで喋り続けていたくせに、まだ足りないなんて思ってしまう。
私、棗くんに出会うまではこんなに喋るキャラじゃなかったはずなのに。
棗くんに出会って、本当に自分は変わったと思う。
もちろん、良い意味で。
「じゃあまた……あの、花火大会……楽しみにしてるから」
「……うん。おやすみ」
「おやすみなさい」
私の『おやすみなさい』の後、数秒置いて棗くんは電話を切った。
電話だと、いつも切り際がわからなくて困る。
もっと話していたい欲望が切るタイミングを阻害する。
「……早く、会いたいなぁ……」
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