一生、この日を忘れない-2

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「それにしても…花火大会ってこんなに人集まるんだな」 「ね、私もビックリした。まだ始まるまで時間あるのにね。棗くん、ここの花火大会来るの久し振り?」 「かなり久し振り」 その期待通りの返しにちょっとほっとしたと同時に、切なさが込み上げてきた。 棗くんの本命は長年綾乃さんだから、花火大会には行けなかったんだ。 綾乃さんはきっと恋人の関さんと行ってるから。 ……棗くんはきっと、綾乃さんと行きたかったんだろうな。 「そっちは?毎年来てんの?」 「え?あ、私?私も久し振りだよ!友達何人かで行った事はあるけど、昨年は行ってないし」 昨年の花火大会は皆で行こうって話が出たけれど、私はちょうど体調が悪くて皆と一緒には行けなかった。 だから今年は昨年行けなかった分、余計楽しみでもある。 しかも隣にいるのは、大好きで仕方ない人。 「棗くんはどんな花火が好き?」 「どんなって言われても…つか、好きな花火とかあんの?逆に聞くけど」
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