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「あるよ!私は、スターマインみたいなやつとひゅぅっと上がってぶわぁ…っと流れるように落ちてくるやつが好きなの」
「その説明、全然わかんねーし」
「見ればわかるよ。始まったら教えてあげるから!あとはねー…」
なんて、またお喋りモードにスイッチが入ってしまって。
結局花火が上がる本当に直前まで、私は好きな花火について熱く語り続けてしまった。
そして、20時ちょうど。
ピュゥッと良い音がした数秒後に、満開のピンク色の花火が夜空に舞い上がった。
「あ、始まった!」
そこから次々と胸に響くほどの音を鳴らしながら舞っていく色とりどりの花火に、私も棗くんも完全に集中していた。
「……綺麗……」
「綺麗だな」
煌めく夜空を瞳に焼き付ける。
それと同時に、隣で花火を見上げる棗くんの姿も瞳に焼き付けた。
棗くんと見た花火を、忘れないように。
隣で並んで花火を見上げた棗くんの姿を、一生忘れないように。
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