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「ここ、凄くよく見えるのに人少ないなんて穴場だね!」
芝生の方を見下ろすと、どこを見ても人で埋め尽くされていて人混みに酔ってしまいそうなくらいだ。
私も人混みはどちらかというと苦手だから、こういう穴場的な場所で花火を楽しめる方が断然いい。
でも、どうしてこんな穴場スポット、棗くんは知っていたんだろう……。
「……弟」
「え?」
「弟に聞いたんだよ。下の芝生の方より橋の上から見た方が人も少ないし見晴らしがいいからオススメだって。……正直、聞くのは癪だったけど」
いつも私に見せる顔とはまた違う、兄の顔を少しだけ覗かせた棗くんを見て私は思わずにやけてしまった。
「……何ヘラヘラしてんの」
「ヘラヘラしてないよ!弟さんと仲良いんだなぁと思って」
ちょっとクールそうに見える棗くんだけど、きっと弟さんにとって良いお兄ちゃんに違いない。
だって何だかんだ言いながらも、棗くんは優しい人だから。
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