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「……何か、自分じゃないみたい」
編み込みを施した、ゆるく纏めたシニヨンスタイル。
メイクはいつも自分でするものよりも上品で艶がある感じで。
鏡に映る自分が、別人に見えてしまう程だった。
「純めちゃくちゃ綺麗だよ!超美人になった!さすがでしょ私」
「本当…凄く綺麗よ、純」
「……ありがとう」
褒められると、やっぱり単純に嬉しかった。
綺麗だなんてほめ言葉、初めて貰えた気がする。
「………」
棗くんも、綺麗だって思ってくれるかな。
少しでも、可愛くなったって思ってくれるかな。
……思ってくれるといいな。
いつもと違う自分に変身できて、嬉しくもあり恥ずかしくもあり。
私は今までにないくらいのドキドキを抱えながら、棗くんとの待ち合わせ場所へと急いだ。
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