一生、この日を忘れない-2

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19時10分。 棗くんとの約束の時間まではあと20分もある。 だけど絶対に遅刻はしたくないから、早めに待ち合わせ場所に向かったつもりだったのに。 ……着くと、その場所には棗くんが既に立っていた。 「え…ウソ、棗くん!?」 まさかもう棗くんがいるだなんて少しも思っていなかった私は、思わず走って駆け寄ってしまった。 すると案の定、足がもつれてしまい体が一気にぐらついた。 ……転ぶ! 「…………危ないから走るな、バカ」 派手に転ぶと思っていた私の小さな体は、がっしりとした腕の中に包まれていた。 「……ご…めんなさい……」 棗くんに抱き締められている、と自分の状況を悟った瞬間、棗くんはパッと惜しむ事なく私の体から手を離した。 「浴衣で走ったら危ないってわかるだろ普通」 「だって…棗くんがもういるなんて思わなかったからビックリしちゃって……」 「あんたなら、どうせ待ち合わせの時間より早く来るだろうと思ったから」 ……棗くんには、私の行動なんてお見通しなんだ。
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