永遠に、叶う事のない願い

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棗くんは少し驚いたような表情を私に見せ、そしてその直後、一言私に呟いた。 「……ごめん」 棗くんに謝らせてしまった私は、一気に嘘をついた罪悪感が押し寄せて思わず視線を逸らしてしまった。 「………」 私の体調不良に気付いた棗くんが悪いんじゃないのに。 体調が悪い事を他人に言えない私が悪いだけなのに。 今ここで謝らなくちゃいけないのは、私の方なのに。 結局私はそのまま顔を上げるタイミングを掴めず、棗くんも私も沈黙を貫いた。 そして棗くんがバスを降りる直前。 「……じゃあ。また明日な」 そう言って俯いたままの私の頭にポン…と手を乗せて、バスを降りて行った。 「あ……」 花火大会以来、久し振りに会えたのに。 会いたくて会いたくて仕方なくて。 やっと、棗くんの声を聞く事が出来たのに。 『気付いてくれて、ありがとう』 こんな簡単な一言が言えない私に、心底嫌気がさす。 棗くんの事は何だって知りたいくせに、自分の都合の悪い部分は知られたくない私は、身勝手だ。
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