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「……………」
ゆっくりと目を開けると、映った景色は学校ではなくて。
病院のベッドに寝かされているんだと、すぐに気付いた。
一瞬、学校の保健室かと思ったけれど、すぐに違うとわかった。
何度も入院経験がある私は、病室のこの独特な匂いに敏感になっていた。
「あ…純、起きたんだ。大丈夫?」
「ママ……」
起き上がろうとすると、ママが慌てて私の体を制した。
「起き上がらなくていいから。純、かなり熱あるのよ。病院に運ばれてきたとき、39度超えてたんだから」
迷惑をかけたくなかったのに、結局病院に運ばれるなんて一番の迷惑をかけてしまった。
「……ママ、また迷惑かけちゃってごめんね」
「何言ってるの…迷惑だなんて思うわけないでしょ?それより、純が体調悪かった事に気付かなかった私の方がごめんねって謝りたいぐらいよ」
そう言ってママは優しく笑ってくれた。
そして私が病院に運ばれた経緯を簡単に話してくれた。
最初に私の異変に気付いたのは冬汰で、私は教室で倒れてしまったらしい。
冬汰がすぐに先生を呼んでくれたおかげで、私は迅速にかかりつけのこの病院に運ばれたんだと教えてくれた。
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