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「純ちゃんは聞いてないかもしれないけど、私、来月大地と結婚するの」
「来月……」
ついに、結婚してしまうんだ。
親友の彼女とはいえ、長年棗くんが想い続けてきた女性が。
綾乃さんと関さんが結婚してしまったら、その瞬間に棗くんの想いは終わりを告げてしまうんだろうか。
それとも、この先もずっと、手の届かない女性だと知りながらも想いを抱き続けるんだろうか。
……永遠に叶う事のない願いを胸にこれからも…棗くんはたった一人で生きていくんだろうか。
「今、本当に凄く幸せなの。ただ、梶真くんの事は……友達としてやっぱりこれからちゃんと恋が出来るのか気になって…」
「本当に、友達として?……それ以外の感情は少しもないって、断言出来ますか?」
棗くんの事を想うと、涙が自然と溢れてくる。
きっと棗くんはこれからも、一人で生きていこうとする気がしたから。
今までと同じように。
だけどそんなの、やっぱり、寂しすぎるよ。
「……綾乃さんは本当は、関さんの事も棗くんの事も、両方同じくらい好きなんじゃないんですか?」
……比べようがないくらいに、二人の事を。
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