あともう少しだけ、好きでいさせて

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『近くで待ってるから、準備出来たら連絡して』 「……近くで待ってる……って……」 近くって、どこの近くだなんて一瞬思いながらも、すぐに考えはまとまった。 ……そんなの、家の近く、しかない……よね? 「……ママ、行ってきます!」 「行ってらっしゃい。気をつけてね」 玄関までの短い距離を全速力で走り抜け、家の扉を勢いよく開けた。 外に出て辺りを見回したけれど、棗くんの姿はない。 だけど少し離れた所に、一台の白い大きな車が止まっているのが見えた。 「………」 片手にスマホを握りしめたまま、何となくその車が気になって恐る恐る近付く。 すると、あと少しで車の傍に辿り着く地点で突然運転席の窓がスーッと開いた。 「おはよ。もう準備出来てたんだ。相変わらず早いな」 運転席の窓から顔をのぞかせ、ふっと目を細めて笑う棗くんの顔が瞳にハッキリと映ったんだ。
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