あともう少しだけ、好きでいさせて

4/40
前へ
/40ページ
次へ
「……おはよう……ございます」 「何で敬語なの。そんなとこ立ってないで、早く乗れば?」 「あ……うん」 そうだ、運転席に座る棗くんに見とれてる場合じゃないんだった。 乗れば?と促され、車に乗り込もうとするものの、後部座席に座るべきなのかそれとも助手席に座ってもいいのか。 彼女でも何でもないのに、助手席に座るって厚かましいのかな? 図々しいって思われるのかな。 そんな考えが頭を過ぎり、棗くんの真後ろの後部座席のドアに手を伸ばそうとすると。 「助手席乗って」 …何故か笑いを堪えたような顔で棗くんがそう言ってくれたから。 その言葉に甘えて、私は助手席にすぐさま乗り込んだ。 「お……お邪魔します」 「どーぞ」 この展開、緊張する。 ていうか、緊張しないわけがない。 だってまさか、車で迎えに来てくれるなんて、少しも予想していなかったから。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

388人が本棚に入れています
本棚に追加