388人が本棚に入れています
本棚に追加
「……おはよう……ございます」
「何で敬語なの。そんなとこ立ってないで、早く乗れば?」
「あ……うん」
そうだ、運転席に座る棗くんに見とれてる場合じゃないんだった。
乗れば?と促され、車に乗り込もうとするものの、後部座席に座るべきなのかそれとも助手席に座ってもいいのか。
彼女でも何でもないのに、助手席に座るって厚かましいのかな?
図々しいって思われるのかな。
そんな考えが頭を過ぎり、棗くんの真後ろの後部座席のドアに手を伸ばそうとすると。
「助手席乗って」
…何故か笑いを堪えたような顔で棗くんがそう言ってくれたから。
その言葉に甘えて、私は助手席にすぐさま乗り込んだ。
「お……お邪魔します」
「どーぞ」
この展開、緊張する。
ていうか、緊張しないわけがない。
だってまさか、車で迎えに来てくれるなんて、少しも予想していなかったから。
最初のコメントを投稿しよう!