あともう少しだけ、好きでいさせて

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最初は完全に一目惚れだった。 でも、言葉を交わすようになってからは、外見よりも棗くんの内面に引き込まれていった。 知れば知るほど、好きになっていった。 だけど今は、その優しさが私の胸を押し潰していく。 いつの間にか、私に向かって棗くんが優しく笑ってくれるだけで、胸がズキズキと痛くなっている自分がいた。 棗くんが当然のように見せる優しさに触れる度に、泣きたくなるんだよ。 「海見て、リフレッシュ出来た?」 「……うん。……何か、いろんな事考えれて、良かった」 好きだけど、終わりにしよう。 棗くんのために。 自分のために。 今はまだ、諦めるなんて言えないけど。 今日から、諦めるための努力をするんだ。 そして。 高校卒業と同時に 棗くんから、卒業する。 この日私は、そう決めた。
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